ディノアゴラ
恐竜、古生物にまつわる諸々その他

古生物学会2

1月30日は、琉球大学で一般講演やポスターセッションなどが開催される。大学の敷地は広く、丘の起伏や淵まである。

講演発表をまつ

古脊椎でもいろいろ興味深い発表が続く。若手の発表では、京都大大学院黒須弘美さんほかの発表「プロトケラトプス類における頬歯の発生様式」
新角竜類の頬歯の発生様式について、原始的な種類では単独の歯が発生するものだったが、最も派生したトリケラトプスなどの種類ではデンタルバッテリーを獲得していく。この変化はどのように起こっていったのか、これまであまり研究されてこなかった。そこで、中間段階にあるプロトケラトプスの頬歯発生様式を調べたもの。歯の複根がどのようにできるのか明らかにした、いい発表でした。

東大総合博物館の藤原慎一さんほかの発表「逆さ四足歩行動物の前肢姿勢:肘関節における骨格形態と姿勢との関係」
藤原さんは、科博トリケラトプス標本などを調べたトリケラトプスの歩行姿勢から発展し、歩行様式のひとつとして、ナマケモノなどに見られる「逆さ四足歩行」の発表をしました。移動に際し、その肘関節角度により筋のテコの大きさの変化など調べていました。これについては、質問に立った東大の犬塚先生がまず「こういう発表を待っていた」と言ったほどです。

国立科学博物館甲能直樹さんほか「デスモスチルス類(哺乳類:テチス獣類:束柱類)の古生態の復元:形態機能解析
デスモスチルス類の食性の再検討から発表は始まりました。酸素・炭素同位体比分析などから、淡水の影響を受ける沿岸:汽水域で生息していたということ、さらに束柱歯が前後方向にも左右方向にも咀嚼ですり減らしによる咬耗をしていないし、まったく動かないように上下の歯があわさっていることから、舌を前後させて陰圧をつくり、えさを吸い込んでいたとしています。結局、これを敷衍させると、陸上より水中生活に適した四肢となり、これまでの復元姿勢からかわるものになるものということでした。今後の議論の発展が期待されるものでした。
posted at 11:05:19 on 02/01/09 by dinopantheon - Category: 恐竜

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